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正確なスキルの遂行でディフェンスを崩す

要約

各チームが自分たちの判断力を磨こうとしているなか、時にスキルの重要性を軽視することがある。ボールをキャッチして正確にパスする能力が勝敗を分けることもある。分析家のデイブ・エリスが、現在行われているラグビーワールドカップの試合から、正確なスキルの遂行およびその軽視がもたらす影響についてみていく。

引用

ボールの移動と軌道においてもスピードは武器になる。攻撃する場所を見つけるには、空いているスペースにいるプレイヤーにいかに早くボールを届けるかが目的となる。

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正確なスキルの遂行でディフェンスを崩す

ラグビーでの勝敗は、大切な場面での判断や簡単なスキルの遂行など、いくつかの重要な場面に集約される。各チームが自分たちの判断力を磨こうとしているなか、時にスキルの重要性を軽視することがある。ボールをキャッチして正確にパスするという能力が勝敗を分けることもある。試合のレベルが高くなるほどトライのチャンスは少なくなる。勝敗は一瞬で決まるのである。

例えば、肩でボールを受け止め、持ち直してパスするか、それともボールを早く受け取り、即座にスペースにいる選手にパスするか。パスを躊躇したりボールを持ち直してから出すことで状況が大きく変化してしまうことがある。下に示した状況で、もしボールを体の平面(注1)で遅れて受けていたら、ボールを持ったままタックルされるか、さもなければボールを持ち直さなければならない。いずれにしてもトライにはつながらなかったであろう。スキップパスが成功したのはレシーバーがフラットの位置にいてディフェンスがアジャストできなかったからである。インサイドのディフェンダーがリカバーする時間はなかった。

「早く受ける」

スピードは武器である。ラグビーにおいて通常この言葉はプレイヤーの走るスピードを意味する。しかし、ボールの移動と軌道においてもスピードは武器になる。攻撃する場所を見つけるには、空いているスペースにいるプレイヤーにいかに早くボールを届けるかが目的となる。そうすればデイフェンスはそのスペースにいるプレイヤーのさらなる攻撃を防ぐために対応せざるを得ないのである。

攻撃側は、スペースに入るアタッカーに充分な時間を与えると同時に、ディフェンスが対応できる時間を少しでも減らそうとする。良いチームはチーム全体でディフェンスするため、良い攻撃をするためにはスペースを見つけなければならない。ただしディフェンスを引きつけ彼らのアジャストをコントールしながら、である。

「引きつけなし」

Allow defence recovery time.ディフェンスにリカバリーの時間を与えてしまう。

Ball in the air too long.ボールの滞空時間が長すぎる。

上に示したのは多くのチームでよく見られる状況である。大外にいる選手にボールを回すため、間にいる選手を飛び越えて長いループパスを出す必要があった。ほとんどの場合、この後ディフェンスがボールを受けた選手をタッチに押し出すことになる。映像は20メートルの間で4対2の状況である。ディフェンスが攻め込まれている。ボールを持ったプレイヤーはデイフェンダーの外でフラットの位置にいるレシーバーに早くパスを出したかった。正面から走りこめばそのディフェンダーを引きつけることができ、そこからクイックパスを出せばフルバックとの2対1の状況を作り出すことができた。ゴールラインに近いため、フルバックはボールを持った選手に向かうか、パスを想定してもう1人に当たるかという判断を迫られることになったであろう。ところが、2人を飛ばしたループパスによってそういった全てのプレッシャーが消えた。どのレベルの試合でも多く見られる、トライのチャンスが失われた場面である。

キャッチアンドパスはラグビーの基本的なスキルである。正確に遂行されればチームはより高いレベルへ上がる。それほど複雑ではなく、このスキルを高いレベルで遂行するための全ての情報が得られる多くの手本をここラグビーサイトで見ることができる。

(注1)体の平面の内側とは、ボールを受けるプレイヤーの両肩の間を示す。ボールを早く受ける、とは体の平面の外側をボールに向けている状態である。体の平面の内側とは、ボールを肩または胸で遅れて受け取ることである。ドリフトしながらボールを取るというのは、体の平面の外側でパスが来た方向と反対側で受け取ることである。

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